相続問題Q&A

人が社会生活を営み、かつ人の命には限りがある以上、相続は誰もが避けて
通れない問題です。 しかも、相続の当事者は近親者ですから、一旦こじれると
いわゆる「骨肉の争い」 となり大変厄介な問題となることは皆さんも見聞されたことがあるのではないでしょうか。
ですから、問題がこじれる前に早めに専門家に相談されることをお勧めします。
さて、私がこれまで扱ってきた事件の中から、比較的数の多い事例をQ&A形式で二、三ご紹介したいと思います。 ご参考になれば幸いです。

相続放棄

仙台市青葉区
32歳 女性

家庭の主婦です。他県で自営業をしていた実家の父親が一年前に死亡
しました。 特段の遺産も無く、母親や実家で同居していた兄からも何の相談も
無かったのですが、 最近になって私宛に○○県信用保証協会というところから
亡父の借金の 支払を催促する書類が届きビックリしました。
私が支払えるような金額ではありません。どうしたらよいでしょうか。

お父さんには銀行からの借金があって支払が滞っていたようです。
借金も遺産のうちに入りますので、お母さんとあなた方兄妹が法定相続分に
応じて借金を相続することになります。
お父さんの死亡(「相続の開始を知った日」)から三ヶ月以内に家庭裁判所に
相続放棄の申立 (申述)をすれば借金も相続しないで済むのですが、
もう三ヶ月を過ぎてしまいましたのでやや面倒です。
本件では、お父さんに借金があったことをあなたが知ったのは最近のことの
ようですから、 申立用紙の「相続の開始を知った日」欄に借金の存在が
判明した日を記入して、 家庭裁判所に相続放棄の申立をしてください。
この場合支払催促の郵便物の写しを添付するとよいでしょう。
裁判所では、あなたから事情を聴取するなどの事実調査をして受理するか
どうかを決めることになります。

遺産分割

仙台市泉区
41歳 男性

郷里の秋田県にいた母親が亡くなりました。
父親は早くに死亡し、 父親の残した自宅に母親が一人で住んでいました。
私の他に5人の兄弟がいます。 兄弟は皆、実家に仕送りをしていた長男の
私が実家の土地建物を含め単独で相続することに 同意してくれていますが、
実家の近くに嫁ついでいる末妹だけは反対し、 自分が相続したいと言って
きかず、話がつきません。
家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てたいのですが、 兄弟の住所は
全国に散らばっており、中には海外赴任中の者もいて、 わさわざ何度も
調停に出てくるのも容易ではありません。何か良い方法はありませんか。

遺産分割の調停は相続人全員が申立人または相手方として参加しなければ
成立しませんが、 あなたが単独で相続することに同意してくれている兄弟が
調停に出頭しないで済むには二つの方法が考えられます。
一つはこの方々から自分の相続分をあなたへ譲渡する旨の書面を裁判所に
提出してもらう方法、 二つ目は出頭困難だが、調停であなたと末妹で
合意する調停案に同意する旨あらかじめ裁判所に連絡しておき、
出来上がった調停条項案を受諾する旨の書面を裁判所に提出する方法です。
くれぐれも注意しなければならないのは、この方々が家庭裁判所に相続放棄
の申述をすると、 あなたと末妹だけが相続人となり、末妹さんの相続分が
6分の1から2分の1に増えてしまうことです。

遺留分減殺

仙台市若林区
45歳 女性

仙台近郊で農業を営んでいます。
母親は既に死亡し、昨年同居の父親が亡くなりましたが、
農地はすべて父親から5年ほど前までに贈与を受けていたので、
家屋敷以外にさしたる遺産はなく、 これも長男である私に相続させるとの
遺言書があります。 ところが、最近になって私の弟妹達から
「遺留分減殺通知書」なるものが私宛届きました。
中学校を出てから長年父親とともに農家を維持してきた私の立場は
どうなるのでしょうか。憤懣やるかたありません。

大変困った問題です。「遺留分減殺」というのは、 簡単に言うと故人の遺産を
貰えない法定相続人を救済する制度ですが、あなたの場合、 兄弟3人が
法定相続人で、本来の法定相続分は各自3分の1づつですので、
弟妹は各自その半分6分の1づつ遺留分としてあなたから取り戻せることに
なるのです。 取り戻しの対象は、遺贈(故人が遺言で贈与や相続すべき人を
指定したりすること)した財産、 故人が原則死亡前1年間に贈与した財産の
順で、それらの総額の6分の1までです。
この権利は、被相続人の死亡及び贈与、遺贈があったことを知ってから
1年以内にのみ主張できます。 お父さんが無くなったのは昨年とのことですが、
遺留分減殺通知がまだ1年以内ならば、 これに応じなければなりません
(なお、農地については生前にあなたに贈与されたのは5年以上前のこと
なので、 遺留分減殺の対象にはならないように見えますが、
法定相続人への生前贈与は1年以上前のものでも対象になると解されている
のです)。 具体的に計算してみましょう。
仮に家屋敷の評価額が2000万円、農地が1000万円とすると
(故人に負債はなく、弟妹が何も生前贈与をうけていないものとして)、
合計3000万円の6分の1ですから、500万円づつの遺留分となります。
家屋敷の評価額が2000万円ですから、弟妹は、各4分の1の共有持分を
取得することになります。 もちろん、あなたは弟妹にお金を払って家屋敷が
共有となるのを防ぐことはできます。
さて、あなたとしては農家の長男として長年にわたり父親とともに農業に従事し、
父親の財産の形成、維持などに貢献してきた(寄与分といいます)ことを主張
したいわけですが、 これが法的には難しいのです。
遺留分減殺請求の裁判では、 被告になるあなたが抗弁として寄与分の主張を
することができないとされているからです。
このようなわけで、問題がこじれて裁判になるまえに、
なんとか話し合いで金銭的解決をめざすのが得策でしょう。

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